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【契約不適合責任免責】瑕疵担保責任との違いや特約を解説!

目次

はじめに

本記事では、不動産売買で頻出する契約不適合責任と、その責任を免除する免責特約について、実務で押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。2020年の民法改正により、従来の瑕疵担保責任から契約不適合責任へと枠組みが変わり、買主が行使できる権利も拡充されました。

特に、中古物件では免責特約が用いられることが多く、内容を理解せずに契約すると、購入後の修繕費用やトラブル対応が全て自己負担となるリスクがあります。一方で、売主や宅建業者にとっては、予見困難な不具合への過度な負担を避けられるメリットもあります。

本文では以下を中心に整理します。

  • 契約不適合責任の基礎(改正の趣旨・実務上の影響)
  • 免責特約の意味と有効性消費者契約法宅地建物取引業法の制限を含む)
  • 中古物件で免責が選ばれる理由と、買主・売主それぞれの注意点
  • 買主が行使できる5つの権利追完請求代金減額請求催告解除無催告解除損害賠償
  • 免責特約が無効となるケース(故意の不告知など)と、トラブル時の対処法

なお、権利行使には除斥期間通知の要件があるため、問題を発見した際は書面(内容証明郵便等)での通知、証拠保全インスペクションなどの手順を早期に取りましょう。

契約不適合責任免責とは何か

契約不適合責任免責とは、不動産売買において売主が物件の欠陥や不具合に対する責任を負わない特約のことです。
2020年の民法改正により従来の瑕疵担保責任から契約不適合責任へと変更されましたが、この責任を免除する特約が多くの不動産取引で活用されています。

免責特約が設定される理由は、売主が予期しない修繕費用や損害賠償のリスクを回避したいからでしょう。
特に中古物件では築年数の経過により様々な不具合が潜在的に存在する可能性が高く、売主にとって大きな負担となる恐れがあります。

例えば、売却後に給排水管の漏水や外壁のひび割れが発見された場合、通常であれば売主が修繕費用を負担する必要があります。
しかし免責特約があれば、こうした費用負担を回避できるのです。

ただし免責特約には一定の制限があり、売主が故意に欠陥を隠していた場合や消費者契約法に抵触する場合は無効となります。
以下で詳しく解説していきます。

契約不適合責任の基礎知識

契約不適合責任とは、売主が買主に引き渡した物件が契約内容に適合しない場合に、売主が負う法的責任のことです。

2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと名称が変更されました。
この責任は、物件の品質や性能が契約で定められた内容と異なる場合に発生します。

具体的には、以下のような状況で契約不適合責任が生じます。

  • 雨漏りやシロアリ被害などの物理的欠陥
  • 契約書に記載された設備の不具合
  • 法令違反による建築上の問題

買主は契約不適合を発見した場合、売主に対して修補請求や代金減額請求、損害賠償請求、契約解除などの権利を行使できます。

「物件に何か問題があったらどうしよう…」と不安に感じる方も多いでしょう。
契約不適合責任は、そうした買主の不安を軽減するための重要な制度といえます。

この責任は原則として売主が負いますが、特約により免責とすることも可能です。
契約不適合責任の基本的な仕組みを理解することで、不動産取引における権利関係が明確になります。

ご相談は青山まで: arigatou@fudosan.work

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免責の意味と影響

契約不適合責任の免責とは、売主が物件の欠陥について一切の責任を負わないことを意味します。

通常の不動産取引では、売主は引き渡し後に発見された欠陥について修補や損害賠償の責任を負います。
しかし免責特約を設けることで、この責任を完全に回避できるのです。

免責が適用されると、買主にとって大きな影響が生じます。
購入後に雨漏りやシロアリ被害が発覚しても「修理費用は全て自己負担になってしまうかもしれない…」という状況に陥るでしょう。
売主への請求権が一切認められないため、数百万円の修繕費用も買主が負担することになります。

ただし免責特約には一定の制限があります。

  • 売主が故意に欠陥を隠していた場合
  • 消費者契約法に違反する場合
  • 宅地建物取引業法の制限に抵触する場合

これらのケースでは免責特約が無効となり、売主の責任が復活します。

特に中古物件では免責特約が多用されるため、契約前の十分な検討が不可欠です。
免責の意味を正しく理解し、物件の状態を慎重に確認することが重要でしょう。

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契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

契約不適合責任と瑕疵担保責任は、民法改正により大きく変化した重要な法的概念です。
2020年4月の民法改正前は「瑕疵担保責任」が適用されていましたが、現在は「契約不適合責任」に変更されました。

この変更により、売主の責任範囲が大幅に拡大しています。
瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」のみが対象でしたが、契約不適合責任では契約内容と異なるすべての不具合が対象となるためです。
また、買主が選択できる救済手段も損害賠償請求と契約解除の2つから、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約解除(催告解除・無催告解除)の4つに増加しました。

具体的には、以前なら買主が知っていた欠陥は責任対象外でしたが、現在は契約書に記載されていない限り売主の責任となります。
責任期間も「知った時から1年以内」から「知った時から1年以内に通知」に変更され、買主により有利な制度設計となっています。
この法改正により、不動産取引における売主の責任がより厳格になったのです。

以下で詳しく解説していきます。

法的背景の違い

契約不適合責任と瑕疵担保責任は、法改正により大きく変わりました。

2020年4月の民法改正により、従来の瑕疵担保責任は契約不適合責任へと変更されています。
瑕疵担保責任は「隠れた瑕疵」という概念を中心とした制度でした。
一方、契約不適合責任は契約内容との適合性を重視する仕組みです。

法的な背景として、瑕疵担保責任は売主の無過失責任として位置づけられていました。
しかし契約不適合責任では、契約で定めた品質や性能に適合しない場合に責任が発生します。

「法改正で何が変わったのかわからない…」と感じる方も多いでしょう。
最も重要な違いは、買主の権利が大幅に拡充された点です。

従来は損害賠償請求と契約解除のみでしたが、新制度では追完請求や代金減額請求も可能になりました。
また、責任期間も「知った時から1年以内」から「引渡しから5年以内」に延長されています。

この法改正により、不動産取引における買主保護がより強化されたといえるでしょう。

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実務上の影響

契約不適合責任と瑕疵担保責任では、実務上の取り扱いに大きな違いが生じます。

まず、売主の責任範囲が大幅に拡大されました。
従来の瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」のみが対象でしたが、契約不適合責任では契約内容に適合しない全ての不具合が対象となります。
これにより、買主は「こんなはずではなかった…」という状況でも、より幅広く保護を受けられるようになったのです。

買主の権利行使方法も変化しています。
瑕疵担保責任では損害賠償請求と契約解除のみでしたが、契約不適合責任では以下の4つの権利が認められています。

  • 追完請求(修補や代替物の引渡し)
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約解除(催告解除・無催告解除)

特に追完請求権は実務上重要で、買主は売主に対して不具合の修理や交換を直接求めることが可能です。
また、代金減額請求により、修補が困難な場合でも適正な価格調整を受けられます。

これらの変更により、不動産取引における買主保護が格段に強化され、売主はより慎重な対応が求められるようになりました。

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契約不適合責任免責の特約とその有効性

契約不適合責任免責の特約は、売主が物件の欠陥や不具合について責任を負わない旨を定めた契約条項です。
この特約により、売主は引き渡し後に発見された問題について修補や損害賠償の義務を免れることができます。

免責特約が設けられる理由は、特に中古物件取引において売主のリスクを軽減するためでしょう。
築年数が経過した物件では、予期せぬ不具合が発生する可能性が高く、売主にとって大きな負担となる恐れがあります。
そのため、多くの中古物件売買契約では免責特約が盛り込まれているのが実情です。

ただし、免責特約には一定の制限があることを理解しておく必要があります。
例えば、売主が故意に欠陥を隠していた場合や、消費者契約法・宅地建物取引業法に抵触する場合には、特約が無効となる可能性があります。
以下で詳しく解説していきます。

免責特約の基本と注意点

免責特約とは、売主が契約不適合責任を負わないことを契約書に明記する条項です。
この特約により、物件に欠陥があっても売主は修補や損害賠償の責任を免れることになります。

免責特約を設ける際の基本的な注意点を確認しましょう。

  • 契約書への明記が必須 口約束では効力がなく、必ず書面で明確に記載する必要があります
  • 免責範囲の明確化                                  どの部分について免責するのか、具体的に範囲を定めることが重要です
  • 買主への十分な説明                                    特約の内容と影響について、買主が理解できるよう丁寧に説明しなければなりません

「この特約って本当に有効なのかな…」と不安に思う方もいるでしょう。
実際に免責特約の有効性は、売主の属性や物件の状況によって大きく左右されます。

特に宅地建物取引業者が売主の場合、買主保護の観点から免責特約に制限がかかることがあります。
また、売主が故意に欠陥を隠していた場合は、免責特約があっても無効となる可能性が高いでしょう。

免責特約は売主にとって有利な条項ですが、適切な手続きと条件を満たすことが前提となります。

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買主にとってのデメリット

契約不適合責任免責特約は、買主にとって大きなリスクを伴います。

最も深刻なデメリットは、物件に欠陥が発見されても売主に修補や損害賠償を請求できないことでしょう。
通常であれば、雨漏りやシロアリ被害などの隠れた不具合が判明した場合、売主に対して修理費用の請求や契約解除が可能です。
しかし免責特約があると、これらの権利を放棄することになります。

「購入後に高額な修理費用が発生したらどうしよう…」という不安を抱える方も多いはず。
実際に、給排水管の交換で数百万円、基礎の補修で数千万円の費用が必要になるケースも存在します。

さらに、物件の資産価値が大幅に下落するリスクも無視できません。
構造的な欠陥が発見されれば、将来の売却時に大きな損失を被る可能性があります。

買主は購入前の物件調査を徹底的に行い、専門家による建物診断を受けることが重要です。
免責特約を受け入れる場合は、予想される修繕費用を購入価格から差し引いて検討しましょう。

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特約が有効になる条件

契約不適合責任免責の特約が有効になるためには、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。

まず、特約の内容が契約書に明確に記載されていることが前提となります。
口約束や曖昧な表現では法的効力を持ちません。

次に、売主が契約不適合について故意に隠していないことが必須条件です。
「欠陥があることを知っていたのに黙っていた…」という状況では、免責特約は無効となってしまいます。

また、買主が個人の場合、消費者契約法による制限を受けるため、一方的に不利益となる免責特約は無効とされます。
特に、売主が宅地建物取引業者の場合は、宅建業法により引渡しから2年間は免責できないという制限もあります。

さらに、特約の内容が公序良俗に反しないことも重要な要件となります。
買主が特約の内容を十分理解し、合意していることが証明できれば、特約の有効性は高まります。

これらの条件をすべて満たした場合に限り、契約不適合責任免責の特約は法的に有効となるのです。

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中古物件における契約不適合責任免責の理由

中古物件の売買では、契約不適合責任を免責とする特約が頻繁に設けられます。
これは売主と買主の双方にとって重要な意味を持つ取り決めであり、取引の安全性と公平性に大きく影響するものです。

売主が免責特約を選択する背景には、中古物件特有のリスクを回避したいという合理的な理由があります。
築年数が経過した物件では、見た目では分からない劣化や不具合が潜んでいる可能性が高く、売却後に予期しない責任を負うリスクが存在するためでしょう。

例えば、築20年のマンションでは配管の劣化や防水性能の低下など、専門的な検査でも発見が困難な問題が隠れていることがあります。
一方で買主は、免責特約により将来的な保証を受けられなくなるため、購入前の入念な調査と慎重な判断が求められます。

売主が免責を選ぶ理由

中古物件の売買において、売主が契約不適合責任の免責を選択する理由は主に経済的なリスク回避にあります。

中古物件は築年数が経過しているため、設備の劣化や見えない不具合が存在する可能性が高くなります。
「売却後に何か問題が見つかったらどうしよう…」と不安に感じる売主も多いでしょう。

売主が免責を選ぶ具体的な理由は以下の通りです。

  • 修繕費用の負担回避                                    売却後に発覚した不具合の修理費用を負担するリスクを避けられます
  • 売却価格の確定                                      後から追加費用が発生する心配がなく、売却代金を確実に手元に残せます
  • 手続きの簡素化                                     アフターフォローの対応が不要となり、売却後の煩わしさから解放されます

特に個人売主の場合、専門知識が不足しており、物件の状態を完全に把握することは困難です。
また、売却資金を住み替えや他の用途に充てる予定がある場合、予期せぬ出費は避けたいところでしょう。

このような背景から、多くの売主が免責特約を付けることで安心して売却を進めています。

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買主が注意すべき点

中古物件で契約不適合責任免責特約がある場合、買主は購入前に十分な注意が必要です。

まず、物件の状態を詳細に確認しましょう。
「見た目は問題なさそうだから大丈夫かもしれない…」と思っても、専門家による建物診断を受けることをおすすめします。
免責特約があると、購入後に発見された不具合について売主に修繕や損害賠償を求めることが原則としてできません。

特に注意すべきポイントは以下の通りです。

  • 給排水設備の動作確認
  • 電気設備の点検
  • 雨漏りやシロアリ被害の有無
  • 建物の傾きや亀裂の確認
  • 近隣環境や騒音問題

また、契約書の免責条項を必ず確認してください。
どの範囲まで免責されるのか、例外規定があるかを把握することが重要でしょう。

売主が故意に隠した欠陥については免責特約があっても責任を追及できます。
不明な点は契約前に不動産会社や専門家に相談し、納得してから契約を締結することが賢明な判断といえます。

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契約不適合責任免責で買主が請求できる権利5つ(追完請求・代金減額請求・催告解除・無催告解除・損害賠償)

契約不適合責任免責特約が付いた物件でも、売主が知りながら告げなかった事実については免責されません。民法では買主保護のため、5つの権利が段階的に行使できる仕組みになっています。

第一に履行の追完を求める権利(民法562条)があり、修補や代替物の引渡しを請求できます。追完請求に売主が応じない場合、

第二の権利として代金減額請求(民法563条)が可能になります。

第三に相当の期間を定めた催告を行った上での契約解除権(催告解除)(民法541条)があり、売主が履行しない場合に行使できます。

第四に履行不能や契約の目的不達成など重大な不適合がある場合は、無催告解除(民法542条)により即座に契約を解除することも認められています。

第五に損害賠償請求権(民法564条)として、填補賠償や拡大損害の請求が可能です。ただし売主に帰責事由がない場合、損害賠償請求は制限されます。

これらの権利には除斥期間が設けられているため、不適合を発見したら速やかに書面で売主に通知し、証拠を保全することが重要です。免責特約の有無にかかわらず、物件の詳細な調査と記録を契約前に行っておきましょう。

追完請求

追完請求とは、民法562条に基づき、引き渡された目的物に種類・品質・数量の不適合があった場合に、買主が売主に対して履行の追完を求める権利です。具体的には修補請求、代替物の引渡し、不足分の引渡しの3つの方法があります。

買主は原則として追完の方法を自由に選択できますが、売主の選択権も認められています。過分の費用を要する場合など、売主が別の方法による追完を申し出ることも可能です。

追完請求を行う際は、相当の期間を定めた催告を売主に対して行うことが重要になります。口頭での請求も有効ですが、後のトラブルを避けるため内容証明郵便などで書面に残すことが推奨されます。

ただし契約不適合責任免責特約がある場合でも、売主が知りながら告げなかった事実については免責されません。そのため、物件の欠陥を発見した際は速やかに追完請求の意思表示を行い、売主との交渉記録を保存しておくことが大切です。

履行不能の状態や売主が追完に応じない場合には、代金減額請求や契約解除といった他の権利行使への切り替えも検討する必要があります。

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代金減額請求

代金減額請求とは、民法563条に基づき、売主が追完請求に応じない場合に買主が代金の減額を求める権利です。追完請求権を行使したものの履行不能や売主の拒絶があった際に、追完に代わる救済手段として機能します。

減額請求を行うには、原則として相当の期間を定めた催告を売主に行う必要があります。ただし追完拒絶の意思表示が明確な場合や履行不能のケースでは、無催告減額請求が認められており即時の減額請求が可能です。

減額される金額は不適合の程度に応じた按分比例的な減額となり、契約時の代金額と実際に引き渡された物件の価値の差額が基準になります。例えば約束された面積より10%少ない土地が引き渡された場合、代金も10%相当の減額が認められます。

代金減額請求と契約解除との選択も可能ですが、軽微な不適合の場合は解除が認められないため減額請求が有効な手段となります。免責特約があっても売主が故意に隠した欠陥は対象外となるため、不適合を発見したら書面で記録を残し、速やかに請求の意思表示を行うことが重要です。

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催告解除

催告解除とは、民法541条に基づき、相当の期間を定めた催告を行った後に契約を解除する権利です。売主が追完請求に応じない場合や債務不履行の状態が続くときに、買主が最終的な手段として行使できます。

催告解除を行うには、まず売主に対して履行を促す催告が必要になります。「○月○日までに修補してください」といった具体的な履行期限を示し、催告期間の経過後も履行されなければ解除の意思表示が可能です。

ただし軽微な不適合の場合は契約目的の達成に影響がないとして解除が認められません。雨漏りや構造上の重大な欠陥など、契約の本質的な部分に関わる不適合であることが求められます。

解除が成立すると原状回復義務が発生し、売主は受領済みの金銭の返還を行う必要があります。買主も物件を返還しなければなりませんが、使用利益の返還は不要です。

催告は口頭でも有効ですが、後の紛争を避けるため内容証明郵便での通知が推奨されます。免責特約があっても売主が故意に隠した事実には適用されないため、不適合を発見したら証拠を確保し、速やかに書面で催告を行いましょう。

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無催告解除

無催告解除とは、民法542条に規定される催告を要しない解除のことで、重大な契約違反がある場合に即時解除できる権利です。通常の催告解除と異なり、期間を定めた催告なしに直ちに契約を解除できます。

無催告解除が認められる主なケースは5つあります。第一に全部の履行が不能な場合、第二に債務者が履行拒絶の意思表示を明確にした場合、第三に一部の履行が不能で残存部分だけでは契約目的の達成不可となる場合です。

第四に定期行為において期限を過ぎた場合、第五に催告しても契約目的の達成不可が明らかな場合が該当します。建物の基礎部分に重大な欠陥があり修復不能なケースや、売主が明確な拒絶の意思を示した場合などが実例として挙げられます。

無催告解除は催告期間を待たずに行使できるため、追完の見込みがない場合の迅速な対応が可能です。ただし解除権の濫用と判断されないよう、不適合の重大性を客観的に示す証拠が必要になります。

免責特約があっても売主が故意に隠した欠陥には適用されないため、重大な不適合を発見したら専門家の調査報告書などを取得し、速やかに書面で解除の意思表示を行うことが重要です。

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損害賠償

損害賠償請求権は、民法564条および415条に基づき、契約不適合によって生じた損害の賠償を売主に求める権利です。追完請求や代金減額請求と併せて行使できますが、売主に帰責事由がない場合は請求が制限されます。

請求できる損害は填補賠償と拡大損害の2種類に分けられます。填補賠償は修補費用や代替物の購入費用など契約不適合そのものによる損害を指し、拡大損害は転売機会の喪失や賃料収入の損失など派生的な損害のことです。

損害賠償が認められるには相当因果関係が必要で、通常損害は当然に請求できますが特別損害は予見可能性がある場合に限られます。例えば雨漏りによる家財の損傷は通常損害として、転売予定だった買主の利益損失は事前に売主が知っていれば特別損害として認められます。

買主側に立証責任があるため、損害額を証明する領収書や見積書、専門家の調査報告書などの証拠が重要になります。免責特約があっても売主が故意に隠した欠陥には適用されないため、不適合を発見したら写真や動画で記録を残し、修補にかかる費用の見積もりを複数取得しておくことが賠償請求を有利に進める鍵となります。

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免責特約が無効となるケース

契約不適合責任の免責特約は、売主の責任を軽減する重要な条項ですが、すべてのケースで有効というわけではありません。
特定の状況下では、免責特約が無効となり、売主が責任を負わなければならない場合があります。

免責特約が無効となる主な理由は、売主の悪意ある行為や法律による制限が関係しています。
たとえば、売主が物件の欠陥を知りながら故意に隠蔽した場合や、消費者保護を目的とした法律に抵触する場合などが該当するでしょう。

具体的には、売主が雨漏りやシロアリ被害を認識していたにも関わらず買主に告知しなかった場合、免責特約があっても責任を免れることはできません。
また、宅地建物取引業者が売主の場合は宅地建物取引業法により、一般消費者が買主の場合は消費者契約法により、免責特約の効力が制限されることがあります。
以下で詳しく解説していきます。

故意に欠陥を隠した場合

契約不適合責任の免責特約があっても、売主が故意に欠陥を隠していた場合は特約が無効となります。
これは民法の基本原則である信義誠実の原則に反するためです。

「売主が何かを隠しているかもしれない…」と感じた場合は、慎重に確認する必要があるでしょう。
故意の隠蔽とは、売主が物件の欠陥を知りながら買主に告知しなかった状況を指します。

具体的には以下のケースが該当します。

  • 雨漏りを知りながら修繕痕を隠して売却した場合
  • シロアリ被害を認識していたにも関わらず告知しなかった場合
  • 近隣トラブルの存在を意図的に伏せていた場合

この場合、買主は売主に対して損害賠償請求や契約解除を求めることが可能です。
ただし、故意の隠蔽を証明するには売主の認識を立証する必要があり、実際の訴訟では困難を伴うことも少なくありません。

故意の隠蔽が認められれば、免責特約に関係なく売主の責任を追及できるのが重要なポイントです。

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消費者契約法による制限

消費者契約法は、事業者と消費者間の契約において消費者を保護する法律です。
不動産売買においても、売主が宅地建物取引業者で買主が個人の場合、この法律が適用されます。

消費者契約法第8条では、事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項を無効としています。
つまり、売主が不動産業者の場合「契約不適合責任を一切負わない」という免責特約は原則として無効です。

ただし、部分的な制限は認められる場合があります。
例えば、責任期間を引き渡しから3か月に限定する特約などは有効とされることが多いでしょう。

「業者から購入するなら安心だと思っていたのに」と感じる方もいるかもしれませんが、実際には消費者契約法により一定の保護が図られています。

また、売主が個人の場合でも、買主が事業者として購入する際は消費者契約法の適用外となるため注意が必要です。

契約書の免責条項を確認する際は、売主の属性と買主の立場を十分に理解することが重要といえます。

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宅地建物取引業法による制限

宅地建物取引業法は、不動産業者による契約不適合責任の免責に厳しい制限を設けています。

同法第40条では、宅建業者が売主となる場合、買主に不利な特約を禁止しているのです。
具体的には、引渡しから2年間は契約不適合責任を負わなければならず、この期間を短縮する特約は無効となります。

「不動産業者なら安心だと思っていたのに…」と感じる方もいるかもしれませんが、実は業者だからこそ厳格なルールが適用されるのです。

この制限により、以下の特約は無効となります。

  • 引渡し後2年未満での責任免除
  • 責任期間の大幅な短縮
  • 責任範囲を著しく限定する条項

ただし、中古物件については例外があり、宅建業者であっても個人間売買と同様の免責特約が認められる場合もあります。

宅建業法による制限は、プロである業者の責任を明確化し、消費者保護を図る重要な仕組みといえるでしょう。

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契約不適合責任を免責とするメリットとデメリット

契約不適合責任免責は、売主と買主の双方にとって重要な意味を持つ取り決めです。
この免責特約により、取引における責任の所在が明確になり、それぞれの立場で異なる影響を受けることになります。
売主にとっては責任回避のメリットがある一方、買主には保護が薄くなるリスクが生じるため、慎重な検討が必要でしょう。

免責特約を設定する際は、売主と買主それぞれの立場から生じるメリットとデメリットを十分に理解することが重要です。
売主は将来的なトラブルを回避できる反面、買主の信頼を損なう可能性もあります。
一方、買主は価格面でのメリットを享受できる場合もありますが、後々の保証が限定されるリスクを負うことになります。

以下で詳しく解説していきます。

売主側のメリットとデメリット

契約不適合責任免責は売主にとって大きなメリットをもたらしますが、同時にデメリットも存在します。

売主側の最大のメリットは、売却後の責任を大幅に軽減できることでしょう。
通常であれば、引き渡し後に発見された不具合について修補や損害賠償の責任を負う必要があります。
しかし免責特約により、これらの責任から解放され、「売却後にトラブルが発生したらどうしよう…」という不安を抱えることなく安心して取引を進められるのです。

特に中古物件では、築年数の経過により予期せぬ不具合が発生する可能性が高く、免責特約は売主の精神的負担を大きく軽減します。
また、修補費用や損害賠償金の支払いリスクがなくなることで、売却価格の設定も明確になるでしょう。

一方でデメリットとして、免責特約を設けることで買主に敬遠される可能性があります。
責任を負わない分、売却価格を下げる必要が生じるケースも少なくありません。
さらに故意に欠陥を隠していた場合は免責が無効となり、より重い責任を問われるリスクもあるのです。

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買主側のメリットとデメリット

契約不適合責任免責における買主側のメリットは、主に価格面での恩恵が挙げられます。
売主が責任を負わない分、物件価格が市場相場より安く設定されることが多く、「少しでも購入費用を抑えたい」と考える買主にとって魅力的でしょう。
また、売主の責任期間を気にせず、自分のペースで物件の修繕や改修を進められる自由度も得られます。

一方でデメリットは深刻です。
購入後に雨漏りやシロアリ被害などの重大な欠陥が発見されても、修繕費用は全て買主負担となります。
特に中古住宅では数百万円規模の修繕が必要になるケースもあり、結果的に総費用が高額になるリスクがあります。
さらに、売主に対して損害賠償請求や契約解除もできないため、「こんなはずではなかった」と後悔しても手遅れになってしまいます。

免責特約付きの物件購入は、価格の安さに惹かれがちですが、将来的な修繕リスクを十分検討することが重要です。

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契約不適合責任免責の物件を売買する時の注意点

契約不適合責任免責の物件売買では、民法第572条に基づく免責特約により売主責任の免除が行われます。この現状有姿での取引は、発見された不具合について追完請求権や代金減額請求権の行使ができないリスクを伴います。

宅地建物取引業法第40条では、宅建業者が売主となる場合の責任期間制限について定められており、完全な免責は認められていません。一般個人が売主の場合でも、告知義務を怠った隠れた瑕疵については免責特約の効力が及ばない可能性があることを理解しておく必要があります。

購入前の対策として、建物状況調査(インスペクション)の実施が極めて重要になります。専門家による詳細な調査により、構造上の問題や設備の不具合を事前に把握できるためです。

重要事項説明では免責条項の内容を十分に確認し、買主自己責任の範囲を明確に把握しておきましょう。契約解除権や損害賠償請求権を放棄する重大な決断となるため、不動産の専門家への相談を強く推奨します。

売主側の注意点

契約不適合責任免責の売買契約においても、売主には告知義務が厳格に課せられており、知っている不具合を隠すことは民法第572条の免責特約を無効にする重大なリスクがあります。故意・重過失による不告知は契約無効事由となり、損害賠償責任を免れることができません。

物件状況等報告書や設備表の作成時には、雨漏りやシロアリ被害、給排水管の故障など構造上主要な部分の不具合について正確な記載が必要となります。瑕疵の存在認識がありながら告知しない事実が判明した場合、免責特約の効力は否定されるためです。

宅地建物取引業法第47条に基づく重要事項の不告知は、行政処分の対象となる可能性もあります。契約締結前の調査義務として、専門業者による建物診断を実施し、発見された問題点は全て買主に開示することが重要な対策といえます。

善管注意義務の観点から、売主自身が把握していない潜在的な問題についても合理的な範囲で調査を行い、信義則違反とならないよう慎重な対応を心がけましょう。不法行為責任を回避するためにも、透明性の高い取引姿勢が不可欠となります。

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買主側の注意点

契約不適合責任免責の物件購入では、自己責任原則に基づき買主自身が物件の状況を詳細に把握する必要があります。建物状況調査(インスペクション)の実施により、構造躯体や給排水設備、電気設備の不具合を専門家による調査で事前に発見できるためです。

既存住宅売買瑕疵保険への加入検討も重要な保護手段となり、民法第572条適用除外となる範囲でも一定の補償が受けられます。現地確認時には雨水の浸入跡やガス設備の動作状況を入念にチェックし、住宅履歴情報や修繕履歴の開示を売主に求めることが欠かせません。

契約内容の十分な理解なくして免責条項に同意することは、将来的な大きな経済的損失につながる危険性があります。耐震性能やリフォーム工事記録も含めた総合的なリスク評価を行い、購入判断材料として活用することが重要です。

買主保護制度の限界を認識した上で、不動産の専門家や建築士への相談を通じて客観的な物件評価を得ることをお勧めします。免責特約の効力範囲を正確に把握し、納得できるリスク水準での取引を心がけましょう。

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契約不適合責任免責に関するよくある質問

契約不適合責任免責について、多くの方が疑問を抱くポイントがあります。
特に不動産取引では、免責特約の有効性やトラブル発生時の対応方法について、正しい知識を持つことが重要でしょう。

免責特約は法的に有効な場合が多いものの、すべてのケースで適用されるわけではありません。
売主が故意に欠陥を隠していた場合や、消費者契約法・宅地建物取引業法に抵触する場合には、特約が無効となる可能性があります。

例えば、個人間売買では免責特約が有効でも、不動産業者が売主の場合は2年間の責任期間が法的に義務付けられています。
また、売主が雨漏りを知りながら買主に告知しなかった場合、免責特約があっても責任を問われるケースが実際に存在します。
トラブルが発生した際は、まず契約書の内容を確認し、専門家への相談を検討することが賢明です。

免責特約の有効性について

免責特約が有効になるかどうかは、契約の内容と状況によって決まります。
「この特約って本当に効力があるのかな…」と疑問に思う方も多いでしょう。

免責特約が有効となる基本的な条件は以下の通りです。

  • 契約書に明確に記載されていること
  • 買主が特約の内容を理解して合意していること
  • 売主が故意に欠陥を隠していないこと
  • 消費者契約法や宅建業法に違反していないこと

ただし、売主が宅建業者の場合は制限があります。
宅建業法により、引渡しから2年間は免責特約を設けることができません。
また、消費者契約法では、消費者に一方的に不利な条項は無効とされる可能性があります。

個人間売買では比較的自由に免責特約を設定できますが、売主が欠陥を知りながら隠していた場合は特約が無効になります。
さらに、建物の構造上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分については、免責が制限される場合もあるでしょう。

免責特約の有効性は個別の事情により判断されるため、契約前に専門家への相談をおすすめします。

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トラブルが起きた際の対処法

契約不適合責任免責の特約があっても、実際にトラブルが発生した場合は適切な対処が重要です。

まず証拠の収集から始めましょう。
不具合の写真撮影、修理業者の見積書取得、売買契約書の確認を行ってください。
「こんなはずじゃなかった…」と感じても、冷静な対応が解決への第一歩となります。

次に売主との交渉を検討します。
免責特約があっても、売主の故意による隠蔽や重大な過失があれば責任追及が可能でしょう。
交渉時は感情的にならず、事実に基づいた話し合いを心がけることが大切です。

法的手段も選択肢の一つです。

  • 消費者契約法違反の主張
  • 宅建業法違反による損害賠償請求
  • 民事調停や訴訟の提起

専門家への相談も重要な対処法となります。
不動産に詳しい弁護士、消費生活センター、宅建協会などが相談窓口として利用できます。

早期の対応がトラブル解決の鍵を握るため、問題発見後は速やかに行動を起こすことが重要でしょう。

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まとめ

  • 契約不適合責任は、契約内容に適合しない不具合があるときに売主が負う責任で、改正民法により買主の保護が拡充されています。
  • 免責特約により売主の責任を限定できても、故意の不告知消費者契約法宅地建物取引業法に反する条項は無効になり得ます。
  • 買主は次の5つの権利をケースに応じて使い分けます:
    • 追完請求(修補・代替・不足分引渡し)
    • 代金減額請求(不適合の程度に応じた按分)
    • 催告解除(相当期間の催告後に解除)
    • 無催告解除(重大事由等で即時解除)
    • 損害賠償(填補賠償・拡大損害、相当因果関係が要件)
  • 実務対応の要点:
    • 書面通知(内容証明など)と証拠保全(写真・動画・見積書・調査報告書)
    • インスペクションの活用、免責条項の範囲例外の確認
    • 除斥期間通知期間の管理、価格調整や保険等のリスクヘッジ
  • 売主は告知義務を徹底し、事実を隠す行為は免責無効責任追及のリスク。買主は価格だけでなく将来の修繕コスト資産価値まで含めて総合判断を。

トラブル発生時は、契約書と免責条項の確認、証拠の収集、そして必要に応じた専門家(弁護士・建築士)への相談が解決への近道です。早期に手を打つことで、無用な紛争や損失を最小化できます。

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この記事を書いた人

AmorGrandeAoyamaKeiko
仕事:不動産売買仲介・人材教育・食品卸をしています。
趣味:ヘリコプターの操縦をすることとE/Gを見ること。
   事業用操縦士です。
   双発と計器をとりたい。

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